2025年05月28日
この子は10歳のネコで症状はありません。
まずは血液検査で【BNP】という項目が基準値を超えていました。BNPは心臓に負担がかかっている時に基準値を超えてきます。もちろん、100%の検査はありませんので血液検査結果からいえることは、『心臓に病気がある可能性がある』ということです。
次に【胸部レントゲン】と【心臓エコー検査】を行います。このネコちゃんの場合はレントゲンでは心臓拡大はありませんでした。しかし、エコー検査で軽度に異常が認められました。
猫の左心室の筋肉は通常5㎜未満と言われています。6㎜を超えると心筋肥大があると判断し、5~6㎜の間はグレーゾーンとして疑いがあると判断します。
このネコちゃんの場合は、測定する場所により写真のように測定する場所により5㎜未満のところもあれば5~6㎜の部分もあります。
以上の結果から【心筋症疑い】として定期的に検査を行い、進行してこないかをチェックする必要があります。
猫の心筋症は、ペットドックなどの健診で症状がないうちに見つけるか、血栓塞栓症や呼吸不全などの危ない状況で見つかるかのパターンが多いです。そして残念ながら症状が出て見つかる時はすでにかなり危ない状況ですので救命率はかなり低いのが現状です。
早期にみつけて対策しても残念ながら治すことは出来ませんが、血栓塞栓症などのリスクは下げる事が出来ます。
血栓塞栓症はものすごく痛みが強く、本当に苦しくて辛そうになるため、場合によっては安楽死を選択せざるえない場合もあります。
心筋症はけっして珍しい病気ではありません。
ただ、症状がないと見つけにくい病気でもありますので、当院ではペットドックなどの健診で猫の場合はこの【BNP】もしくは【心エコー】検査を受けていただくことを強く推奨しています。
ペットたちの健康維持と元気に長生きするために是非ペットドックをご活用ください。