2025年05月28日
この写真は皮膚の分泌物を染色して顕微鏡で見たものです。
免疫細胞が細菌をやっつけている写真です。
このワンちゃんは8歳のトイプードルです。皮膚に湿疹ができ、かゆみを伴っていたそうで、ステロイドで治療をしていました。治療をしてもなかなか良くならず、当院にはセカンドオピニオンで来院されました。
皮膚の写真を撮るのを忘れていたので他の症例写真を引用しますが、このような皮膚の状態です。
炎症をともなう発疹と皮膚がめくれているような病変が多数認められます。皮膚がめくれてるような部分は実は治りかけている病変で、炎症をともなう発疹(赤いところ)が治っていない病変です。
この赤い部分から滅菌綿棒で分泌物を採取して調べたところ、冒頭の写真のような細菌がでてきました。
診断としては細菌性湿疹いわゆる膿皮症です。
膿皮症は様々な原因で皮膚のバリア機能が低下し、毛穴などに細菌感染が起きて湿疹ができます。そして痒みを伴うことが多いです。細菌はどこからかうつされたものではなく、常在菌と言って皮膚に日常から存在している菌が原因となります。
このワンちゃんの場合は検査で明らかな細菌感染兆候が認められました。また、すこし慢性化してこじらせてきていましたので、痒みのコントロールのためステロイド塗り薬を4~5日、抗生物質内服を約3週間、殺菌シャンプーによる治療を約1ヶ月続けていただき、なんとかきれいに治りました。
治療の基本は細菌をやっつけるための2週間以上の抗生物質の投与と殺菌シャンプーによる治療が必要です。
強い痒みを伴っている場合は痒み止めやステロイドの内服や外用薬を短期的に使う場合もあります。ステロイドを飲むととりあえずの痒みがおさまり、一時的に皮膚炎も引いたように見えるのでよくなったのか?と錯覚しますが、根本的な治療をしないと治りきらないことも多いので注意が必要です。
そういった観点から当院では必要と思う検査は、しっかりインフォームをさせていただき、出来るだけ初回に行うように心がけています。
皮膚病って見た目よく似てるけど実は違うかったというパターンもあります。
なかなか治りにくい病気ほど、飼い主さんとの二人三脚での治療が必要と感じています。
なかなかよくならない皮膚病でお困りの際はお気軽にご相談くださいね