犬の脂漏症

2025年05月26日

かなり前から全身の痒み・皮膚炎・脱毛・ベトツキ・フケ・色素沈着(黒いシミ)・臭いを主訴に来院されたワンちゃんです。

写真は右前胸部・右ひじ・下腹部の2枚ですが、全身いたる所に皮膚病変が認められました。

痒みが酷いそうでワンちゃんも飼い主さんも困っておられました。

 

皮膚病は典型的な見た目であればほぼ診断がつけることもできますが、経過が長いほど・症状が重いほどいくつもの病変が重なってしまうので、見た目だけでは判断がつけることが難しくなります。

 

今回のワンちゃんは慢性経過をたどっていましたので、寄生虫検査・真菌(カビ)検査・皮膚の分泌物検査を実施させていただいた結果、重度のマラセチア菌と細菌感染が認められました。

痒みが強いため痒み止めの内服の処方も考えましたが、今回は抗生剤内服(2週間)・マラセチア菌と細菌に効果のある薬用シャンプー・サプリメント(アンチノールプラス)で治療開始しました。

 

そして約2ヶ月後、ここまでキレイになってくれました。

一番の問題だった痒みに関してもほぼないようです。全身の皮膚炎・フケ・ベトツキもほぼ改善してくれています。

写真にあるように毛も生えてきれくれてますし、黒くシミになていた部分も少しずつきれいになってきています。診察台にもほとんどフケが落ちなくなりました。今後も治療は必要ですが、ワンちゃんも痒みがとれて楽なようですし、飼い主様も喜んでいただいて私も嬉しいです。

痒み止めはすごく便利で短期で効果が見えるので使ってしまいがちですが、今回のように痒み止めを使わなくてもコントロールできる皮膚病も中にはあるので、痒みのある時に闇雲に初めから使うのではなく、しっかり症例を選ぶことが大事であると感じています。

もちろん必要なケースや他の治療で痒みのコントロールが出来ない時、特にアトピーやアレルギーの子には処方しています。

今回のワンちゃんも根底にはアトピーなどが隠れている可能性を否定はできませんが、今の治療でまずはコントロールしながら、今後の治療方針も考えていきます。

 

皮膚病は本当に十人十色です。同じ病気でも治療内容や治療反応は個々によって違いますし、中には専門医に力を借りないとうまくいかないこともあります。それでも時間をかけて診察・治療し、飼い主さまにもご協力いただくことで十分コントロールできることも沢山あります。

 

『昔からなかなか良くならない』、『今の治療では充分コントロールできていない』などお困りの際はぜひお気軽にご相談ください。少しでもお手伝いが出来ればと思います。