猫のアトピー

2025年05月28日

今回はアトピーのネコです。イヌもネコも基本的な症状は同じで【痒み】です。

写真は腹部・右前脚ですが他にも何か所も病変があってすごく痒そうでした。

10年以上前はイヌに比べてネコの皮膚病は少ない傾向にありましたが、猫でも徐々に見る機会が増えてきていると感じています。

診断治療の進め方は、まず他に皮膚病変ができる病気の除外です。寄生虫・真菌(カビ)・細菌(細菌性皮膚炎はネコは少ないです)・好酸球性皮膚症などを除外できれば、アトピーと仮診断して治療を開始します。まずはステロイドを投与して治療の反応を見ていきます。

 

このネコちゃんは当院に受診する以前に他の皮膚病の除外は済んでいたのでステロイドの治療を開始しました。

 

※左が治療前、2週間後の治療後の写真

 

皮膚病変はほぼなくなり毛も生えてきました。

このままステロイドを高用量で使用し続ければ痒みもコントロールできますが、使い過ぎると副作用の面において不安の残る薬でもあります。長期に高用量でつづけると、肝臓・腎臓・膵臓に影響がでたりなかには糖尿病になってしまうケースもあります。

ステロイドで改善が認められたら、ステロイドよりも副作用が少ない免疫抑制剤に変更したり、外用薬でコントロールが可能なら外用薬に変更したりしていきます。アトピーは治る病気ではないので、できるだけ副作用が出ないようにお薬と付き合っていく事が重要です。

 

しかし、薬を変更すると症状が悪化したり、免疫抑制剤が体に合わないなどの理由でどうしてもステロイドを使わざるをえない場合もあります。こういった時は症状を落ち着かせられるできるだけ少ない量でステロイドを続けながら定期的に副作用のチェックをすることになります。

 

もちろん理想は【副作用なく症状を完全に抑える】ことですがなかなか理想通りいかない事もあります。そういった時は【副作用が出にくい用量で症状を許容範囲で落ち着かせる】というように少し妥協しないといけないことも正直あります。

 

飼い主様によって目標はちがいますので、ひとりひとりの飼い主様と相談しながら犬猫にとって一番いい方法を探していく事が大切かと考えています。

皮膚病でお悩みの方がいらっしゃいましたらぜひご相談くださいね。