2025年05月28日
フィラリアは蚊によって媒介される病気で心臓や血管に写真のような寄生虫が住み着いてトラブルを引き起こします。
猫も犬と同様にフィラリアを持っている蚊に刺されると感染します。
・室内飼育でも感染します。(感染した猫の約4割が室内飼育というデータもあります)
・ネコからネコへと直接感染はしません。蚊を挟まないと感染しません。
症状は、咳・呼吸困難、嘔吐・食欲不振、突然死、無症状などになります。ただ、猫の場合は典型的な症状ではなく他の病気と区別がつかないことも多いです。また、初期に軽度の症状が出た後は無症状のうちにフィラリアが自然消滅することもありますし、生き残ったフィラリアが原因となり数年後に突然死につながることもあります。
治療は、咳や呼吸困難、嘔吐などの症状に対しては対症療法を行います。ただ、残念ながら犬のようにフィラリアを根本的に駆除する治療はありません。生き残ったフィラリアが原因となり突然呼吸困難などが起こった場合は残念ながら治療は困難です。
犬とは違い無症状のネコでフィラリアを診断することは非常に難しいのが現状です。
先日当院に初めてフィラリア予防で来られたワンちゃんの飼い主様からこのようなこと聞きました。
『フィラリアは予防はした方がいいけど、そんなに多くないからそれ程心配はいらないと言われたことがある』
確かにフィラリア感染が見つかるケースはこの5~7年ほどは当院でもだいぶ減ってきて年に0~2頭程度になりました。
ただ、それは飼い主様の予防意識が高まり、きちんと予防する方が多くなったため減っているだけであって、自然が沢山ある地域にいけばフィラリアはまだまだいます。そのため、予防の意識を下げるのではなく、たとえ2年間で1頭しか感染が見つからなかったとしても、そのワンちゃんネコちゃんや飼い主様は悲しい思いをしてしまうことになりますので、予防はしっかりするべきであると感じています。
フィラリアはきちんと予防期間を守り予防することでほぼ感染を防ぐことができます。
地域的は理想の予防開始時期は4月からですが、遅くても5月には予防を始めていきましょう。
・フィラリアについてよくあるQ&A
Q:寒くなるのに12月まで投与しないといけないの?
A:フィラリアが感染する期間は地域によっても違いますが、大阪府では11月が最後の感染月と言われています。
もし11月にフィラリアに感染してしまった場合は12月に飲む薬で駆除しますので12月まで必要になります。
何年の前の話ですが、他院でフィラリアは11月まででいいと言われて予防していたパグがいました。
当院で血液検査したところフィラリアに感染しており、結局その後で急性フィラリア症に陥ってしまい治療しましたが亡くなってしまいました。
Q:毎年血液検査をしないといけないの?
A:万一予防漏れがあり(投与忘れ・投与遅れ・吐き出しなど)フィラリアに感染したワンちゃんが予防薬を飲むとアナフィラキシーショックなどのアレルギー反応が起こることがあるため、毎年予防開始前に血液検査で感染を確認する必要があります。
Q:去年何回か予防薬を飲ませるのを忘れたけど大丈夫?
A:たった1回忘れただけでも感染してしまう事があります。フィラリア予防は、実は毎月飲ませる事でフィラリアに感染してしまった場合に駆除をしています。毎月駆除しているので病気にならないという理屈です。ただ、駆除しようと思っても感染して時間がたってしまうと予防薬を飲ませても間に合わなくなります。そのため、毎月欠かさず飲ませる事が大切です。
Q:室内犬だけど予防した方がいいの?
A:もちろん予防が必要です。
フィラリアを持っている蚊に刺されて予防薬を飲まないとフィラリアに感染してしまいます。室内犬でも散歩に行くでしょうし、散歩にほとんど行かないとお聞きすることもありますが家に入ってくる蚊を0(ゼロ)には出来ないかと思います。
Q:室内飼育のネコだけど予防した方がいいの?
A:もちろん予防が必要です。ドアや窓を開けた隙に室内に蚊が入ってくることもあります。